データ活用の内製化は実現可能か、持続可能か

インテージテクノスフィア
DX共創センター マネージャー
久保田 郁亮

「データ活用」というつかみどころがない取り組みの “取っ手” 探しのお手伝いを担当。

Tableau Serverのハードウェア要件が上がったときに「ムムムっ」と思いましたが、「オンプレ環境で運用しているみなさんに比べれば…」と思うことで自身の心を落ち着かせることができました。オンプレ環境でTableau Serverを運用しているみなさんの心中をお察しします。

内製化を志す企業が増加

今年度も私の役割は変わらず、データ活用やデータ基盤構築のご相談を受けております。数年前に比べると、クラウドを前提としたご相談やゼロからの構築ではなく既存環境からの移行といったご相談が増えてきたように感じます。そのなかで「内製化」というキーワードを多くのお客さまから耳にするようになりました。内製化といっても、コア部分は自分たちでやらないといけないといったポジティブな背景から、社内人材の稼働を上げて外部経費を削減するといったネガティブな背景もあります。どんな背景にせよ、インテージテクノスフィアはデータ活用を推進する人たちを支えるのが使命ですので、真摯にお客さまと向き合っています。

とはいえ、「内製化を実現したい」というお客さまの言葉をそのまま受け取るわけではありません。

・ 内製化を実現できるだろうか

・ 内製化実現までにどれくらいの期間を要するだろうか

・ どの範囲を内製化対象とするだろうか

上記のようなことを考えながら、そのお客様にとって「実現可能な内製化」を見定めていきます。

また、内製化は一度実現すればいいのではなく、その状態を持続していかなければいけません。むしろ、持続させていくことのほうが難しいかもしれません。データにまつわる人材を継続的に育成する。そのためには人材育成の仕組み化が必要でしょう。また、変化は必ず生じるもの。変化に合わせて運用を見直し、システムを見直す、といった取り組みも必要です。これは誰しもが実現できることではありません。多くの企業では完全な内製化を目指すのではなく、「ここは内製化する。そこ以外は外部の支援を頼る」といった取捨選択が必要になってくるでしょう。

内製化すべき範囲とは

では、どこを内製化すべきでしょうか。もちろん一律の答えはありません。ここでは極めて単純化して考えてみます。これをベースに自分たちの場合はどうかということを考えていただければと思います。

下図は一般的なデータ基盤の構成要素です。これに沿って見ていきましょう。

集計・分析(part 1)

ここはそもそも内製化を検討すべき部分ではありません。自分たちでやることが前提とされる部分です。ビジネス課題を持つ人自身が、BIツールなどを使ってデータを活用して判断をしてアクションにつなげていく。他社を介すと速度・精度が落ちてしまいます。
ツール導入時や浸透初期段階では他社の支援を受けることもありますが、人材育成含め最優先で自走できるようにすべきです。

データマート (part 2)

ここはデータエンジニアリングの色が濃くなってくる部分ではありますが、内製化を目指したい部分です。ビジネス理解、データ理解、データエンジニアリング理解といった要素が求められるため、なかなかこれらを併せ持った人材を確保や育成することは難しいかもしれません。外部パートナーを入れながらセミ内製化くらいを目指すのが現実的かもしれません。一方で、dbtなどのツールも登場していますから、以前よりは内製化のハードルが下がっているように思います。

データウェアハウス・データレイク (part 3)

ここはデータ基盤チームに専任のメンバーを複数充てることができるのであれば内製化できるでしょう。それが難しい状況であれば、迷わず外部パートナーを頼りましょう。データ活用すべきリソースを剥がしてまで、ここに自社の貴重なリソースを充てなくてもよいと考えます。全体を掌握する人はもちろん必要ですが、データマートに比べると内製化の優先度は下がります。ただ、この部分についても、troccoやfivetranといったツールが登場していますから、長めのマイルストーンをおいて内製化を目指してもよいでしょう。

インフラ

ここはデータエンジニアリングにはそれほど関係なく、従来のシステム領域です。オンプレ環境で構築している場合は、内製化を中心として一部を外部パートナーに委託するという体制にならざるを得ません。一方で、クラウド環境であれば外部パートナーに委託するウェイトをより多くすることが可能であると考えます。

いつでも手を差し伸べられるように

さて、内製化すべき範囲は見えてきましたでしょうか。内製化を実現したとしても、いつ何が起こるかはわかりません。予期せぬメンバー離脱や連携システムの大きな仕様変更など、データ活用・データ基盤の運用が困難になる不測の事態が起きてしまうかもしれません。しかし、そんな時も動き出したデータ活用・データ基盤は止められません。インテージテクノスフィアはそういった事態にもしっかりと支援ができるようなパートナーでありたいと考えています。初期構築だけ、基盤だけと範囲を限定せず、私たちはお客さまごとに必要なご支援をお客様のフェーズに合わせて提供していきます。

お問い合わせ先:itsp-tableau@intage.com

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