インテージテクノスフィア
DXビジネス推進部 マネージャー
久保田 郁亮
データ統合基盤の開発とBIツール導入支援を担当。
社内のTableauパートナー窓口として、ライセンス管理から、社内コミュニティ運営まで幅広く対応。社内コミュニティへの投稿には即レスを心がける。Tableau Server は Linux で構築したい。
はじめに
インテージテクノスフィアはインテージグループ内外のお客さまからTableau関連のご相談を受けています。パートナーになって2年半が経ち、相談内容はだいたいこの4パターンに分類できそうだなと見えてきました。
- データ変換
- ダッシュボード作成
- データ基盤構築
- データ基盤構築&Tableau導入
お客さまの組織の状況、実際に利用する人たちのデータリテラシー / ITリテラシーによって、何をどこまで実現しなければいけないかが明確になります。
「ここまでやってくれればあとは自分たちでできます!」や、「最初から最後まで丸ごとお願いします!」であったり。
今回、これらのパターン毎に内容やお客さま側、受託側双方気をつけたいポイントをあげていきたいと思います。
1.データ変換
「Tableauで扱いたいから、このデータをTableau用に変換してください。」という比較的ライトな相談です。
このケースでは大概は以下のアプローチでお客さまのやりたいことは実現できます。
- 横持ちデータを縦持ちにする。
- マスターデータを切り出す。
- PCだとスペック不足なので、サーバーやサーバーレスサービスなどで処理する。
このアプローチを起点として、細部を詰めていけばやるべきことは定まっていきます。とはいえ、中には扱いづらいデータがあるので、落とし穴がないかについては見極める必要があります。
例えば、過去に取り組んだアンケートデータのケースでは、どんなデータレイアウトが最適かを考えるのに苦労しました。アンケートデータには、複数回答設問の集計、マトリクス形式設問の集計、ウエイトバック集計といった独特の集計方法があるからです。アンケートデータ専用の集計分析ツールがこの世に存在する意義を再認識しました。このあたりの詳細にご興味のある方は、以下のブログ記事を参照してみてください。
インテージテクノスフィア技術ブログ:「アンケートデータを Prep で加工することを諦めた」
2.ダッシュボード作成
こちらも比較的ライトな相談で、「ダッシュボードを作ってください。」というシンプルなケースです。
個人的な意見ですが、このパターンで外部委託する場合、お客さま側も受託側もハッピーになりうるだろうかと心配になることもあります。なにせ “セルフサービスBI” ですから。
ダッシュボードの作成には、①どんな目的で、②どんな判断をしたいのか、③そのために必要なデータは何か、の3つが明確になっていることが大前提であり、そのうえで、どんなレイアウトのダッシュボードにするのかを検討していきます。そのため、お客さまと受託側で紙面上で互いに検討をする(よくあります)よりも、最初からTableauでダッシュボードを作りながら具現化しくステップを踏む方がスマートです。お客さまがダッシュボードイメージを提示して、受託側がTableauで実現して…という段階を踏むより、お客さまが最初からTableau上で自己完結できるように受託側に伴走者的な役割を依頼することの方が “ムダ” は少なくなります。
とはいえ、お客さまに必ずしも十分なTableauスキルが備わっていないこともありますし、多忙すぎて手が回らないこともあります。その場合は外部に作業を発注する方が現実的です。ただし、その場合は自己完結できる場合と比べて、受発注双方でのデータの理解、ゴールイメージのすり合わせといったステップを避けては通れませんから、コミュニケーションコストはどうしても発生してしまうということもご理解ください。
3.データ基盤構築
ここからは難易度がぐっとあがるケースです。「Tableauは導入済みだけど、データが整備されていない。このままだとTableauを活用しきれない。」といった相談です。
データ基盤を構築するのですから、相当な開発規模にはなるのですが、この場合すでにお客さまはTableauを使い始めているため「何を実現したいか」が明確になっている場合が多く、その点はスムーズに進行可能です。受託側はデータさえ整備すれば、データを活用する部分はお客さまにバトンタッチされ、お客さま自身でどんどんカタチにしていくことができます。開発の効果としては、以下のような明確な評価軸が設定できます。
- データが管理された状態になる。
- パフォーマンスが向上する。
- 人が介在する作業が減る。
4.データ基盤構築&Tableau導入
最も難易度の高いケースです。「データ基盤を構築してデータを活用していきたい。」といった相談です。
SIer が提案資料で持ってくる “あの壮大なデータ基盤” をゼロから導入するという話になりがちです。お客さま自身も「なにができたらうれしいのか」が明確になっていない状況の場合が多く、その結果受託としては壮大な提案をせざるを得なくなり、開発規模が大きいのに明確なゴールが定まっていないという、両社ともに大変リスキーな状態に陥ってしまう不幸なパターンです。
このような場合には、「何ができたらうれしいのか」を小分けにして実現していくことを提案します。いきなりデータ基盤を構築しようとせず、まずは手元にあるデータでTableauを使ってみて、「どんなことができるのか」、「誰がユーザーになり得るのか」を明らかにすることで、最初の一歩を大いなる一歩として踏み出せるようになります。
次に、特定のデータにねらいを定めて、その範囲でデータ基盤をプレ構築します。「そのデータ基盤があることでどんなメリットがあるのか」を実体験してもらうのです。
このように、問題をひとつひとつ分解して解決していくことで、明確なゴール設定ができるようになってから、本開発に進む、これこそが王道と言えるでしょう。
おわりに
お客さまも受託側も、上記のような悩ましいポイントを理解したうえでコミュニケーションをすると、認識の齟齬や失敗のリスクを減少させることができるのではないでしょうか。
お客さまに合わせて支援いたします。お気軽にお問い合わせください。
Tableauによるデータ分析基盤構築支援
https://www.intage-technosphere.co.jp/pickup/tableau/